高齢化が進む日本では、介護サービスの需要がある一方で、介護事業の経営は簡単ではありません。近年は介護事業者の倒産件数も増えており、業界全体で経営の課題が注目されています。介護事業を安定して続けるためには、適切な対策を取ることが重要です。ここでは、介護事業の現状や赤字の原因、倒産を防ぐための対策について解説します。
介護事業の現状と赤字事業所の割合
介護業界は社会にとって欠かせない分野ですが、事業運営という観点では課題も多くあります。まずは介護事業の現状について理解しておくことが大切です。赤字事業所が一定数存在している
介護事業では、すべての事業所が安定した利益を出しているわけではありません。実際には、収支が厳しい状態で運営している事業所も存在します。介護サービスは公的な報酬制度に基づいて収入が決まるため、自由に価格を設定できない特徴があります。人件費や事業所の運営費などの支出が増えると、収益が圧迫されることがあります。とくに小規模な事業所では経営資源が限られているため、赤字になりやすい場合もあります。
介護事業の倒産件数は増加している
近年、介護事業者の倒産は増加傾向にあります。2025年の介護事業者の倒産件数は176件となり、2年連続で過去最多を更新しました。背景には、深刻な人材不足や物価の上昇による運営コストの増加などがあります。とくに訪問介護の分野では経営の厳しさが目立っており、事業継続が難しくなるケースも見られます。2026年も同様の高い水準で倒産が続く可能性があると指摘されており、休業や廃業を含めた事業者の減少が進む懸念もあります。こうした状況から、介護事業ではこれまで以上に経営の安定化が求められています。
介護事業が赤字になる理由
介護事業の需要は高いものの、経営が安定しないケースもあります。赤字になる理由にはいくつかの共通した要因があります。人材不足によるサービス提供数の制限
介護事業では人材がサービスの中心となります。介護職員や看護師が不足すると、対応できる利用者数が限られてしまいます。利用者が増えなければ収入も増えないため、経営に影響が出ることがあります。また、人材不足の状態が続くとスタッフの負担が大きくなり、離職につながる可能性もあります。人材の確保は介護事業にとって大きな課題のひとつです。人件費の負担が大きい
介護事業では人件費が大きな割合を占めます。介護サービスは人が中心となって提供するため、スタッフの給与が経費の多くを占める傾向があります。人材を確保するために給与や待遇を改善すると、人件費が増加する場合もあります。収入が一定である中で人件費が増えると、利益が出にくくなることがあります。資金繰りの問題
介護サービスの収入は主に介護報酬によって支払われますが、サービス提供から入金までには一定の期間があります。一方で、スタッフの給与や事務所の家賃などの支払いは毎月発生します。入金までの期間に資金が不足すると、資金繰りが厳しくなる場合があります。とくに開業直後や利用者数が少ない時期は資金管理が重要になります。倒産を防ぐための経営対策
介護事業を安定して続けるためには、経営の視点から対策を考えることが重要です。収益の確保だけではなく、資金管理や事業運営の工夫も必要になります。地域との連携を強化する
介護事業では地域の医療機関やケアマネジャーとの連携が重要です。利用者の多くは医療機関や居宅介護支援事業所から紹介されるためです。地域の関係者と情報交換を行い、信頼関係を築くことで利用者の紹介につながる可能性があります。地域との連携を深めることは、利用者数を安定させるうえでも重要な取り組みです。人材が働きやすい環境を整える
人材の定着は介護事業の安定に大きく関わります。スタッフが安心して働ける環境を整えることで離職を防ぐことができます。働きやすい職場環境を作ることは、長期的な人材確保にもつながります。スタッフが安定して働けることで、サービス提供の質を維持しやすくなります。資金繰りを安定させる仕組みを活用する
介護事業では報酬の入金まで時間がかかるため、資金管理が重要になります。資金不足を防ぐためには、資金調達の方法を理解しておくことも大切です。そのひとつとしてファクタリングという方法があります。ファクタリングは売掛金を活用して資金を早期に受け取る仕組みです。介護報酬を売却することで、入金日を待たずに資金を確保できる場合があります。借入とは異なる仕組みの資金調達として、資金繰りの選択肢のひとつとして利用されることがあります。